キャンペーンメーカーコラム
TikTokキャンペーン

TikTokキャンペーン完全ガイド|企業向けに設計・形式比較・規約・費用まで網羅

公開日:更新日:

執筆・監修:キャンペーンメーカー編集部
TikTokキャンペーン完全ガイド|設計から規約・費用まで

TikTokキャンペーンは、Instagram・Xの進め方をそのまま持ち込むとつまずきやすい施策です。動画がフォロワー以外に届く仕組み、応募の入口がユーザーからのDMになる導線、16歳未満はDMを使えないという年齢条件、企業が使える音源の制限など、前提がいくつも違うためです。

この記事は、企業の担当者が「TikTokキャンペーンをやるかどうか」から「どう設計し、どう測り、どう次につなげるか」までを1本で判断できるようにまとめた総合ガイドです。形式の比較、業種別の設計、賞品と当選人数の計算、逆算の工程表、応募規約のひな形、公式ルールと法律の整理、リスク対応、費用の考え方、チェックリストまで扱います。

TikTokの規約やルールは変更されます。本文の規約情報は2026年11月時点で確認できた公式情報に基づいています。実施前には必ずリンク先の最新の内容を確認し、法律の判断に迷う場合は専門家に相談してください。

TikTokキャンペーンとは何か:定義と全体像

この記事では、企業や店舗が自社のTikTokアカウントなどを使い、賞品や特典を用意して、視聴者に特定の行動を促す販促施策を「TikTokキャンペーン」と呼びます。プレゼント企画、インスタントウィン、撮影チャレンジ、クーポン配布などが代表例です。

広告配信そのものはキャンペーンと呼ばないことも多いのですが、TikTokでは同じ動画をオーガニック(広告費をかけない投稿)と広告の両方で使えるため、この記事では広告を「キャンペーンを届ける手段のひとつ」として扱います。

キャンペーンを構成する5つの部品

TikTokキャンペーンは、次の5つの部品に分けると検討の抜け漏れが減ります。どれか1つが弱いと、全体の成果がそこで止まります。

部品決めることTikTokで特に難しい点
1. 動画何を見せ、誰を止めるか応募者の多くが自社を知らない状態で動画に出会う前提で作る
2. 導線動画からどう応募させるか動画を見終えた人に、DM画面まで移動してもらう必要がある
3. 抽選と返信いつ、どう当落を返すか動画の伸びが読めず、応募の山がいつ来るか予測しにくい
4. 特典何を、何名に、どう渡すかDMの中で渡しきれる特典かどうかで、運用の重さが大きく変わる
5. ルール規約と法律をどう守るか開示設定、音源、年齢条件など、確認項目が多い

この記事と各論記事の使い分け

この記事は全体像と設計の判断を扱います。作業の段階に入ったら、次の各論記事もあわせて使ってください。

知りたいこと読む記事
実施の手順を順番に確認したいTikTokキャンペーンのやり方(7ステップ)
動画のネタと秒数ごとの台本例がほしいTikTokプレゼント企画のアイデア7選
抽選方式の違いと当落の文面を詳しく知りたいTikTokの抽選方法とインスタントウィン

TikTokキャンペーンが合う企業、合わない企業

総務省情報通信政策研究所の令和7年度「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」概要によると、TikTokの利用率は全年代で36.7%です。年代別では10代67.9%、20代61.5%、30代44.7%、40代42.6%、50代32.2%、60代21.2%、70代11.1%でした。10代・20代が中心ですが、30〜40代でも4割を超えています。「若者しかいない」と決めつけず、自社の顧客の年代と照らして判断しましょう。

ただし、利用率がそのまま応募できる人数にはなりません。後述のとおり、DMを使えるのは16歳以上です。10代の利用率が高くても、16歳未満はDM応募の対象にならない点に注意が必要です。

合いやすい条件

  • 商品の魅力を映像や音で見せられる
  • 自社をまだ知らない人に広げたい
  • クーポンやデジタル特典を用意できる
  • 動画を複数本作る体制がある
  • 応募DMへの即時返信を用意できる

慎重に検討したい条件

  • 主要顧客がTikTokの利用が少ない層に限られる
  • 主な対象が16歳未満である
  • 酒類やタバコなど、年齢制限や広告制限が厳しい商材
  • 動画を1本しか作れない
  • 既存顧客への還元だけが目的である

既存顧客への還元だけが目的なら、すでに顧客とつながっているメールやLINE、会員アプリのほうが効率的なことがあります。TikTokの強みは「まだ知らない人に届く」点にあるため、その強みを使わない企画では費用が割高になりがちです。

Instagram・Xとの違い:設計を変えるべき6つのポイント

同じプレゼント企画でも、媒体が変わると設計の前提が変わります。下の表は、よくある運用の傾向をまとめたものです。各媒体の仕様は変更されることがあります。

論点TikTokInstagramX
告知の中心縦型の動画そのもの画像・リール・ストーリーズテキストと画像のポスト
主な拡散の経路おすすめフィードフォロワー、発見タブ、リールリポスト、タイムライン
応募の入口の例ユーザーからのDMコメント、いいね、ハッシュタグ投稿などフォロー+リポストなど
当落の伝え方届いたDMへの返信主催者からのDMなど主催者からのDMなど
文章で伝えられる量少ない。テロップと音声が主キャプションで補える本文で直接伝えられる
BGMの制約企業は商用音源が基本媒体の規約に従う音声を使わないことも多い

この違いから、設計で変えるべき点は次の6つです。

  1. 「フォロワー数」ではなく「動画の出来」から見積もる。フォロワーが少なくても届く可能性がある一方、フォロワーが多くても動画が見られなければ応募は増えません。
  2. 応募の説明を動画の中で完結させる。キャプションを読まない視聴者を前提に、テロップと音声で伝えます。
  3. 「いいね・コメントの数」と「応募」を分けて考える。動画の反応がよくても、DMを送る手間の分だけ応募は減ります。
  4. 応募の集中に備える。動画がいつ伸びるかを主催者が決められないため、夜間や休日の応募にも返信できる仕組みが必要です。
  5. 流行の音源を前提にしない。企業が使える音源は限られます。音源に頼らず見てもらえる構成にします。
  6. 応募資格を年齢から考える。DMが使える年齢の条件が、そのまま応募資格に影響します。

応募の入口がDMになる理由

TikTokのBusiness Messaging APIの公式ガイドには、会話を始めていないユーザーへ企業からメッセージを送ることは禁止と明記されています。コメントを起点にDMを送るComment-to-Messageという公式機能もありますが、対象はベトナム、インドネシア、タイで登録されたアカウントに限られています(2026年11月確認)。そのため日本のアカウントでは、「“応募”とDMを送ってね」のように、ユーザーから先にメッセージを送ってもらう設計が基本になります。公式の広告メニューでも、Messaging Adsは見込み客のほうから企業へ会話を始める形として説明されています。

この制約は不利に見えますが、利点もあります。応募者が自分からメッセージを送っているため、当落の返信を届けやすく、応募と結果の記録が同じ会話に残ります。その反面、「動画を見る→プロフィールへ移動→メッセージ画面を開く→ワードを入力する」という手順は、ほかのSNSの1タップ応募より重くなります。この手順の重さをどう軽くするかが、TikTokキャンペーンの設計の中心です。

告知動画からプロフィール、メッセージ画面、応募ワードの送信、その場での抽選を経て、当選なら特典を受け取り、落選ならお礼と案内を受け取る流れの図
図:DM応募の導線。応募者には5つの段階があり、どこでも離脱が起こりえます

おすすめフィードの仕組みをキャンペーン設計に置き換える

TikTokの公式解説How TikTok recommends videos #ForYouでは、おすすめの判断材料として次の3種類が挙げられています。また、フォロワー数や過去にヒットした動画の有無は直接の要因ではないと説明されています。なお、この解説は公開から年数が経っており、現在の細かな重み付けまでを示すものではありません。

公式が挙げる材料例キャンペーン設計での意味
ユーザーの行動いいね、シェア、フォロー、コメントなど賞品目当ての反応を無理に集めるより、見たくなる内容を優先する
動画の情報キャプション、音源、ハッシュタグキャプションには商品カテゴリーやテーマの言葉を入れ、関心のある人に届きやすくする
端末・アカウントの設定言語、国、端末の種類日本語で明確に伝える。重みは他の要素より低いとされる
ユーザーの行動、動画の情報、端末とアカウントの設定から好みを予測して順位付けし、おすすめフィードに表示する流れの図
図:おすすめフィードの判断材料(TikTok公式の解説をもとに作成)

2026年9月更新のCreator Academyの推奨システムの解説でも、視聴、完了、いいね、スキップ、コメント、保存などの行動を確認し、いいねやスキップの可能性を予測して順位付けする流れが説明されています。クリエイター向けには、視聴時間を重視した動画づくりが勧められています。

同じ解説では、長めの動画を最後まで見たかどうかのような強い指標は、視聴者と投稿者の国が同じかどうかといった弱い指標より重く扱われるとされています。つまり、キャンペーン動画は「応募の案内」である前に、「最後まで見たくなる動画」である必要があります。

設計に落とし込む4つの原則

  1. 賞品の説明から始めない。冒頭で「プレゼント企画です」とだけ言っても、賞品に関心のない人はすぐに離れます。先に、商品が活きる場面や驚きを見せます。
  2. 応募案内は最後の1回だけにしない。途中で離れた人にも伝わるよう、画面の隅に応募ワードを常時出すか、中盤と終盤の2回に分けます。
  3. 1本に賭けない。どの動画が伸びるかは事前に判断しにくいため、切り口を変えて複数本を出します。
  4. 過度に「いいね」や「フォロー」を求めない。後述のとおり、TikTokのガイドラインには、いいねやフォローの水増しを促すコンテンツをおすすめフィードの対象外とする記載があります。

おすすめに載らない可能性がある動画

公式の情報からは、次のような動画はおすすめに表示されない、または制限される可能性があると読み取れます。企画の段階で避けておきましょう。

  • コミュニティガイドライン:人を操作してギフトを贈らせたり、いいねやフォローを水増しさせたりしようとするコンテンツ
  • コミュニティガイドライン:適切に開示されていない商業コンテンツ(おすすめフィードからの削除などの対象)
  • Creator Academy:使い回しに見えるコンテンツ、スパム的な投稿、別の場所から借用して新たな工夫がない動画
  • Creator Academy:危険な行為やチャレンジを助長する可能性がある動画
  • Creator Academy:16歳未満のクリエイターが投稿したコンテンツ(知らないユーザーへのおすすめの対象にならない)

キャンペーンで特に注意したいのは、ほかのSNSの告知動画をそのまま転載することと、未成年の投稿者に協力してもらう企画です。なお、同じ解説では、再生数が伸びないからといって必ずしもおすすめの対象外とは限らないこと、対象外になった場合はTikTokのインサイトツールに表示されることも説明されています。

参考リンク

目的別の設計とKPI

目的が曖昧なキャンペーンは、賞品も動画も評価基準も定まりません。最初に「主目的を1つ」と「確認用の副指標」を決めます。以下はKPIの例で、目標値の相場を示すものではありません。

主目的主KPI副指標合う賞品動画の方向性
新規の認知告知動画のユニークな視聴者数完全視聴率、シェア数商品カテゴリーに関心のある人が喜ぶ物商品を知らなくても楽しめる内容
商品の理解平均視聴時間、応募者数コメント内の商品に関する質問数その商品自体、トライアルセット使い方や変化を見せる実演
見込み客の獲得応募者数、特典URLの到達数フォーム到達率、登録率限定コンテンツ、体験の機会悩みの提示と解決
来店の促進クーポンの店頭利用数店舗別の利用数、来店時の購入額店頭で使えるクーポン店舗の雰囲気や人気メニュー
EC購入の促進コード経由の購入数新規購入者の比率ECクーポンレビュー形式、使用シーン
アカウントの育成キャンペーン後のフォロワー残存数終了後の動画の視聴数シリーズ企画と連動した特典次回も見たくなる連続企画

応募数は「動画→応募→特典」の掛け算で見積もる

TikTokのキャンペーンは、次の掛け算で見積もると、どこを改善すべきかがわかります。

計算の型

応募者数 = 動画の視聴者数 × 応募率
利用数 = 応募者数 × 当選率 × 特典の利用率

項目(すべて仮の数字)悲観標準楽観
動画の視聴者数30,000人100,000人300,000人
応募率0.3%0.5%1.0%
応募者数90人500人3,000人
当選数の上限100名100名100名
実際の当選率枠が余る20%約3.3%

計算の仕組みを示す仮の数字で、実績値や相場ではありません。自社の過去の数字がない場合は、幅を持たせて試算します。

動画を見た人から最後まで見た人、DMを送った人、特典を受け取った人、使った人へと減っていく漏斗と、各段階の離脱理由の図
図:動画から特典の利用までの段階と、主な離脱の理由。段の幅は人数を示すものではありません

ここで大切なのは、悲観と楽観で応募者数が大きく変わる前提で設計することです。悲観のように応募が少なければ、当選枠が余りかねません。楽観のように多ければ、返信の処理能力が問題になります。どちらの場合でも破綻しない当選の出し方を、賞品設計の節で説明します。

KPI設定でよくある落とし穴

  • フォロワー増加数だけを見る。終了後に解除されることがあります。少なくとも終了の2〜4週間後の数字も確認しましょう。
  • 再生数だけで成功と判断する。再生が多くても応募や利用につながらなければ、販促としての評価はできません。
  • 応募数と応募者数を混同する。1人1回に制限していても、重複や不正を除いた人数を集計します。
  • 媒体をまたいで同じ目標を使う。応募の手間が違うため、Instagramの実績を基準にすると判断を誤りやすくなります。

キャンペーン形式の比較と選び方

TikTokで考えられる形式を、本サービス(キャンペーンメーカー for TikTok)の自動化の対象かどうかとあわせて整理しました。本サービスが自動化するのはDM応募キャンペーンです。「フォロー&いいね」での応募を集計したり、抽選したりする機能はありません。

形式応募者の行動当落の伝え方長所注意点本サービスでの自動化
DM応募×インスタントウィン指定ワードをDMで送るその場でDMに返信待たせない。デジタル特典を渡しきれる当選枠の配分設計が必要対象(標準の形式)
DM応募×締切後の抽選指定ワードをDMで送る締切後にDMで返信高額賞品を少数に出しやすい結果を待つ間に関心が薄れる。受付の確認が必要原則対象外
DMクイズ答えをDMで送るその場、または締切後動画を最後まで見る動機になる表記ゆれの扱いを決める応募ワードの設定による。事前に相談
フォロー&いいねフォローといいねをする主催者が連絡方法を別途用意参加が簡単水増しと判断されないよう注意。主催者からDMを始められない対象外
コメント応募コメント欄に書き込むコメント返信、発表動画など動画への反応が見えやすいコメントを起点に新規DMは送れない対象外
ハッシュタグ投稿(UGC)テーマに沿った動画を投稿選考後に発表投稿が集まれば広がりやすい参加の負担が大きい。権利、音源、開示の確認が必要対象外
LIVE連動LIVEを視聴し参加するLIVE内の発表など熱量の高い視聴者と話せるLIVE開始は18歳以上。進行の負荷が大きい対象外
全員配布クーポンDMで請求、または動画やページで確認当落なし断られる体験がない取引に付随する場合は総付景品の規制を確認当選枠や文面の設定による。事前に相談

「事前に相談」とある形式は、やりたい内容によって設定が変わるため、個別の確認が必要です。

参加の手間と当落がわかる速さの2軸で、DM応募インスタントウィン、締切後抽選、フォロー&いいね、コメント応募、LIVE連動、ハッシュタグ投稿を配置した図
図:形式の位置づけのイメージ。配置は目安で、企画の内容によって変わります。締切後の抽選は原則として本サービスの対象外です

迷ったときの決め方

  1. 特典はDM内で渡せるか。クーポンコードやURLで渡せるならインスタントウィンが第一候補です。配送が必要で高額なら、当選者だけにフォームを案内する締切後の抽選も検討します。
  2. 動画を見終えた人にとって、応募が簡単か。ワードを1つ送るだけの形を基準にし、追加の条件を増やすほど応募は減ると考えます。
  3. 夜間の応募に返信できるか。手作業の体制なら、まず応募数を抑えやすい形にするか、自動化を検討します。
  4. 誰が作る動画を主役にするか。自社の動画だけで届ける形か、ユーザーやクリエイターの投稿を広げる形かで、確認すべきルールが変わります。

「フォロー」「いいね」を応募条件にしてよいのか

まず、確認できた範囲を正確に書きます。今回確認したコミュニティガイドライン(2026年9月24日発効)には、プレゼント企画でフォローやいいねを応募条件にすることを一律に禁止または許可すると明記した文は見当たりませんでした。一方で、次の記載があります。

  • 「人々を操作してギフトを贈らせたり、『いいね』やフォローを水増しさせたりしようとするコンテンツは『おすすめ』フィードの対象外」
  • 「人為的にエンゲージメントを増やしたり、おすすめシステムを欺いたりするサービスの取引も許容されません」

賞品を提示して行う一般的なフォロー依頼がこの「水増し」にあたるかどうかは、公式の文面だけでは断定できません。ただし、おすすめフィードの対象外になれば、TikTokキャンペーンの最大の利点を失います。そこで実務上は、次のように慎重に設計することをおすすめします。

慎重に設計するなら

  • 「いいね」や「シェア」を応募の必須条件にしない
  • フォローを必須条件にするかは、目的と得られる効果を見て判断する。必須にしない場合は「フォローすると新情報が届きます」という案内にとどめる
  • 相互フォロー、いいね回りを呼びかけない
  • フォロワーやいいねを買う業者のサービスは使わない
  • ギフトを送ることを応募条件にしない
  • 動画全体を「いいねやフォローのお願い」にせず、視聴する価値のある内容にする

なお、景品表示法の観点では、購入や来店を伴わないフォローや「いいね」の応募は、消費者庁のQ&Aで、通常は景品規制の対象外と整理されています(詳しくは後述)。つまり、景品表示法上の扱いとTikTok上の扱いは別の話です。片方を満たしても、もう片方の確認は必要です。

応募ワードの設計

応募ワードは小さな決定に見えますが、応募の成立率と集計の手間に直結します。

観点おすすめ避けたい例
長さ2〜6文字程度長い文章、複数語の組み合わせ
文字種ひらがな、カタカナ、よく使う漢字記号、全角と半角の混在
判定表記ゆれの許容範囲を決めておく完全一致だけで判定し、説明もしない
企画との関係商品名の一部やクイズの答え意味のない文字列、他社の商標
期間内の整合全動画で同じワードを使う動画ごとに違うワードで混乱させる

動画ごとの効果を測りたい場合は、ワードを分ける方法もあります。ただし混乱を招きやすいため、基本は同じワードにして、動画の公開時期と応募数の推移で判断するほうが無難です。

ハッシュタグ投稿(UGC)企画の設計

ユーザーに動画を投稿してもらう企画は、うまくいけば広がりが大きい一方で、DM応募より確認事項がはるかに増えます。本サービスの自動化の対象ではないため、運用はすべて別途の設計が必要です。実施するなら、次の点を先に決めます。

論点決めること放置したときの問題
お題の難しさスマホ1台、1分以内で撮れる内容にする投稿が集まらない
安全危険な動作、未成年の露出、他人が映る場面を避ける事故や炎上につながる
音源使ってほしい音源、使ってはいけない音源を示す投稿者が権利の問題に巻き込まれる
権利著作権の扱い、公式での再利用の範囲、削除の依頼方法二次利用のときに揉める
内容の指定高評価や特定の文言を条件にしないステマ規制上、事業者の表示になりうる
商品の購入購入者が有利になる仕組みにしない、または懸賞の上限を確認する景品規制の対象になりうる
選考審査基準と抽選の別を明示する結果に不満が出る
投稿の開示見返りを受けた投稿の開示をどう案内するか確認する開示の不足につながる

参加を増やしたいときは、賞品を増やす前に、投稿の見本を公式アカウントで示す方法があります。協力者に見本の投稿を頼み、見返りを渡す場合は、ブランドコンテンツとしての開示が必要かを確認しましょう。

LIVEをどう組み込むか

コミュニティガイドラインによると、LIVEの開始とLIVEでのギフト送信は18歳以上に限られ、クリエイターは外部ツールで生じた内容を含め、LIVEで起きることに責任を負うとされています。今回確認した範囲では、LIVEで抽選を行うことに関する専用のルールは確認できませんでした。そのため、LIVEを応募の条件にするより、次のように補助的に使うほうが安全です。

  • 応募前の説明:商品の使い方や賞品を説明し、応募はDMで行うと案内する
  • 締切前の盛り上げ:残り日数を伝えて、質問に答える
  • 結果報告:当選数、受け渡しの状況を報告する。当選者のアカウント名を読み上げる場合は事前に同意を得る
  • 次回の予告:視聴者の意見を聞いて、次の企画に活かす

ギフトを送った人を優遇する企画は避けましょう。ガイドラインは、人を操作してギフトを贈らせようとするコンテンツをおすすめフィードの対象外としています。また、ギフトの有無で当選が左右されると、金銭の負担を伴う応募と受け取られるおそれもあります。

LIVEで商品を紹介する場合は、LIVEの商業的コンテンツにも開示のトグルが必要です。また、ガイドラインには、TikTok Shopが利用可能な市場ではプラットフォーム外での商品購入に誘導するコンテンツの表示を制限するとの記載があります。自社サイトでの購入へ誘導するLIVEを企画するときは、確認しましょう。

業種別の設計

業種によって、見せるべき内容、合う特典、確認すべきルールが変わります。以下は考え方の例です。

業種動画の主軸特典の例主なKPI設計上の注意
飲食店・カフェ調理の音、できたて、メニューの裏側次回使えるドリンク券店舗別の利用数来店が条件になると景品規制の分類が変わる
食品・飲料メーカー食べ方のアレンジ、開発の裏話新商品セット、ECクーポンコード利用数、指名検索の変化配送は個人情報と送料の設計が必要
化粧品・美容使用感、テクスチャー、手順トライアルセット平均視聴時間、サンプル請求数効能の表現と加工に注意する
アパレル同じ服の着回し、サイズ感限定クーポン、先行案内EC購入数、新規購入比率モデルと実物の差が出ないように見せる
家電・ガジェット驚きの使い方、比較実験実機、アクセサリー商品の理解度、詳細ページ到達数実験の条件を明示し、誇張しない
宿泊・観光客室の案内、現地の体験宿泊券、体験チケット予約ページ到達数、予約数時期や除外日、交通費の負担を明記する
学習・資格1分で学べる問題、勉強法教材の一部、体験講座資料請求数、体験申込数成果を保証する表現を避ける。未成年の保護者同意を検討する
BtoB業務のあるある、担当者の解説調査資料、無料診断資料請求数、見込み客の質消費者向けの賞品は目的とずれやすい
地域の小売・サービス地元の話題、スタッフの紹介店頭で使えるクーポン来店数、地域内の認知居住地による絞り込みは完全にはできない前提で設計する

規制の厳しい業種は最初に確認する

TikTokのブランドコンテンツポリシーには、ブランドコンテンツとして宣伝できない業種や、条件つきで認められる業種が示されています。たとえばタバコ・ニコチン製品、CBDを含む薬物関連商品、減量商品・サービスなどは禁止の例として挙げられています。酒類は、承認済みのブランドから招待を受けた場合に限られる業種の例です。

また、コミュニティガイドラインでは、規制対象の商品やサービスの取引や販売、アクセスの提供について制限が定められています。自社の商材がこれらに近い場合は、企画より先にTikTokの最新のポリシーと、業界ごとの法令や自主基準を確認してください。企業認証の公式案内によると、規制対象の商品やサービスに関する投稿ができるのは、承認された業種と国の認証済みビジネスアカウントに限られます。同じページでは、日本の酒類は21歳以上向けの表示に制限すると示されています。酒類を賞品にする場合は、法律上の20歳という年齢に加えてTikTok側の条件も確認し、応募資格と受け取り時の年齢確認の方法を決める必要があります。

健康食品や化粧品、医療に関わる商材は、効果や効能の表現も問題になりやすい分野です。商品が著しく優れているかのように示す表現は、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。動画の台本は、社内の法務や薬事の担当者にも確認してもらいましょう。

設計シートの記入例3パターン

ここまでの論点を1枚にまとめると、次のようになります。すべて架空の設定で、実在の企業や実績とは関係ありません。数字も仮のものです。

項目カフェチェーンの来店促進化粧品ブランドの新商品BtoB企業の見込み客獲得
主目的新規客の来店新商品の理解資料請求
主KPI店頭でのクーポン利用数平均視聴時間、応募者数有効な資料請求数
形式DM応募×インスタントウィンDM応募×インスタントウィン+少数の現物DM応募、または広告のリード獲得
応募資格16歳以上16歳以上。未成年は保護者の同意18歳以上の業務担当者
賞品ドリンク割引券トライアルセット調査レポート、無料診断
動画の主軸店舗ごとの人気メニューテクスチャーと使用の手順担当者のあるある、1分解説
受け渡し個別コードを店頭で提示当選者限定の配送フォームダウンロードページ
法的な確認割引券が値引にあたるか。来店の扱い効能の表現、個人情報、未成年取得情報の利用目的、広告メールの同意
特に注意すること店舗スタッフへの周知、対象外の店舗配送の遅れ、当選数と配送可能数の照合消費者向けの賞品目当ての応募を増やさない

賞品設計と当選人数の決め方

賞品は「高いほどよい」ものではありません。TikTokのおすすめ経由で来る視聴者には、賞品だけが目当ての人も含まれます。誰でも欲しがる現金同等の賞品を選ぶと、応募数は増えても、商品に関心のない人が中心になりかねません。

賞品タイプの比較

タイプ顧客との相性応募の集まりやすさ受け渡しの手間向く目的
自社商品・セット高い中配送が必要商品理解、話題化
自社クーポン高い中DMで完結来店、EC購入
デジタルギフト低い〜中高いDMで完結認知、見込み客の獲得
限定コンテンツ高い商品の人気によるDMで完結ファン化
体験・招待高い地域や日程による個別の調整が必要ファン化、話題化
高額な目玉賞品賞品による高い配送と本人確認が必要認知

よくある組み合わせは、目玉賞品を少数と、DMで渡せるクーポンを多数にする二段構成です。動画では目玉賞品で興味を引きつつ、より多くの応募者にクーポンで次の行動を促せます。特典の数や当たりやすさを誤解されないよう、数の違いは明記します。

当選人数の決め方

当選人数は「配りたい数」ではなく、次の3つの上限のうち最も低い数を基準に決めます。

3つの上限

  • 予算の上限:特典の原資÷(1人あたりの特典原価+配送などの費用)
  • オペレーションの上限:期限内に確実に受け渡せる人数
  • 法令の上限:取引に付随する懸賞の場合の、景品の総額の上限

計算例を示します。すべて仮の数字です。

項目A:商品配送B:クーポン
特典の予算200,000円200,000円
1人あたりの商品・利用時の原価1,500円300円
1人あたりの送料・梱包費700円0円
想定利用率100%20%
1当選あたりの実質費用2,200円60円
予算内の当選数の目安約90名約3,300名

計算の方法を示す仮の数字です。Bは想定より利用率が高くなると費用が増えるため、発行上限や予備費を設定します。

クーポンは費用対効果が高く見えますが、「想定利用率」が外れると予算を超えます。発行数と利用期限を決めたうえで、利用率が100%になっても対応できるかを確認しておくと安全です。

当選枠の出し方:3つの方式

インスタントウィンでは、期間の前半で枠を使い切ると、動画が後から伸びたときに当選の機会が残りません。当選の出し方には、大きく次の方式があります。

方式仕組み長所短所
期間一括全期間で1つの枠を使う設定が単純序盤に集中すると枠が早く尽きる
日別配分日ごとに枠を割り当てる期間を通して当選の機会が残る応募の少ない日に枠が余りやすい
確率+上限当選確率を決め、総数の上限で止める応募の増減に合わせやすい応募が少ないと当選数が想定を下回る可能性がある
期間一括は序盤に枠が尽き、日別配分は階段状に減り、確率と上限の方式は応募の増減に沿って減る様子を示す3つのグラフ
図:残りの当選枠の減り方のイメージ。実際の形は応募の集まり方によって変わります

どの方式でも、応募要項に書いた当選数と実際の当選数がずれないように管理します。消費者庁の一般懸賞についてのQ&Aでは、実際の当選者数が告知した当選者数に満たない場合、不当表示として景品表示法違反となるおそれがあると説明されています。応募が少なかった場合の扱いは事前に決めましょう。たとえば告知を「最大○名」とする、余った枠を別の方法で提供するなどです。ただし、どの表現が適切かは実施内容によって異なるため、実施前に確認してください。

スケジュール:逆算の工程表

TikTokのキャンペーンは動画制作の工程が重いため、初回は開始の8週間前から逆算すると余裕を持てます。以下は目安で、体制や審査の有無によって変わります。

目的と予算、形式と賞品、台本と撮影、規約と法務確認、返信文とテスト、動画の投稿、監視と問い合わせ対応、受け渡しと報告の8工程が重なる時期を示すガントチャート
図:開始8週間前からの工程の重なり。詳しい作業は下の表を参照してください
時期企画・社内動画ルール・運用
8週間前目的、KPI、予算を決める既存アカウントの動画を棚卸しする商材が規制の対象か確認する
7週間前形式と賞品の方向性を決める企画案を複数作る景品表示法上の分類を整理する
6週間前社内で企画の承認を得る台本を作成する応募規約の案を作る
5週間前賞品と当選枠を確定するクリエイターの選定と依頼を始める個人情報の取り扱いを確認する
4週間前当選後の受け渡し先と連携する撮影、音源の確認ツールまたは手作業の手順を決める
3週間前問い合わせ対応の分担を決める編集、テロップの確認規約と返信文の法務確認をする
2週間前特設ページと特典を準備する動画の完成、関係者の確認返信パターンのテストを行う
1週間前当日の連絡体制を決める投稿予約、開示設定の確認別アカウントで応募のテストを行う
開始日応募数と問い合わせを監視する第1弾の動画とプロフィール固定返信の動作を確認する
期間中日次で数字を確認する反応を見て第2弾以降を投稿当選枠と不審な応募を確認する
終了後1週間受け渡しの完了を確認する結果報告の動画を投稿するプロフィールの案内を修正する
終了後2〜4週間効果を報告する伸びた動画の要因を整理する個人情報の削除時期を確認する

短縮する場合も、「法務確認」「応募テスト」「開示設定の確認」は省略しないでください。

応募期間はどう決めるか

応募期間は長いほどよいとは限りません。短いと動画が伸びる前に終わる可能性があり、長いと緊張感が薄れ、管理の負担も増えます。決める際は次の点を考えます。

  • 動画を何本、どの間隔で投稿できるか
  • 商品の発売日やセールの期間と合わせる必要があるか
  • 終了後に投稿された動画が再生されても、応募できないことを説明できるか
  • 締切後に届いた応募DMへの返信をどうするか

おすすめフィードでは、投稿から日数が経った動画が見られることもあります。終了後も動画を公開したままにする場合は、「キャンペーンは終了しました」と固定コメントやキャプションで案内しましょう。締切後の応募DMへの返信も用意しておきます。

応募規約のひな形

TikTokの動画では、規約の全文を伝えられません。特設ページに全文を掲載し、動画やプロフィールから確認できるようにします。下のひな形は、DM応募のインスタントウィンを想定したものです。自社の企画に合わせて修正し、必ず法務担当者や専門家の確認を受けてください。

応募規約のひな形(DM応募・インスタントウィン)

第1条(主催者)
本キャンペーンは、○○株式会社(以下「当社」)が主催します。本キャンペーンは、TikTokおよびその関連会社が主催、後援、推奨するものではありません。

第2条(応募期間)
20XX年○月○日○時○分 ~ 20XX年○月○日○時○分(日本時間)。期間外に届いたメッセージは応募として扱いません。

第3条(応募資格)
次のすべてを満たす方を対象とします。(1) 日本国内に居住していること (2) TikTokのダイレクトメッセージを利用できる16歳以上の方であること (3) 本規約に同意していること。未成年の方は、保護者の同意を得たうえでご応募ください。当社の従業員および関係者はご応募いただけません。

第4条(応募方法)
当社の公式アカウント(@○○○)へ、TikTokのダイレクトメッセージで「○○」とお送りください。送信と同時に応募となります。応募は無料ですが、通信料はお客様のご負担です。

第5条(当選者数と賞品)
賞品:○○ 当選者数:合計○名(1日あたり○名)。賞品の内容を変更する場合は、同等以上の賞品にて対応します。

第6条(抽選方法と当落の通知)
応募ごとに、事前に定めた方法により自動で抽選を行い、応募いただいたメッセージへの返信で当落をお知らせします。抽選は先着順ではありません。抽選の過程および結果に関するお問い合わせにはお答えできません。

第7条(応募回数)
お一人様1回までとします。複数のアカウントからの応募が確認された場合は、すべての応募を無効とすることがあります。

第8条(賞品の受け取り)
当選者には賞品の受け取り方法を案内します。受け取り期限は○年○月○日です。期限までに手続きが確認できない場合は、当選を無効とします。賞品の転売、譲渡はできません。

第9条(個人情報の取り扱い)
ご提供いただく個人情報は、本キャンペーンの運営、当選のご連絡、賞品の発送、お問い合わせ対応に利用します。法令に基づく場合を除き、ご本人の同意なく第三者に提供しません。業務の一部を委託する場合は、委託先を適切に管理します。詳細は当社のプライバシーポリシーをご確認ください。

第10条(なりすましへの注意)
当社からの連絡は、公式アカウントからのダイレクトメッセージおよび本ページに記載の方法に限ります。当社が送料、手数料、クレジットカード情報、パスワードの入力を求めることはありません。

第11条(無効・中止)
不正な手段による応募、虚偽の情報の提供、法令や公序良俗に反する行為があった場合は、応募を無効とします。天災、システムの障害、TikTokの仕様変更など、やむを得ない理由により、本キャンペーンを変更または中止することがあります。

第12条(免責)
メッセージの未達、機器の不具合、通信環境により応募または受け取りができない場合、当社の故意または重過失を除き、責任を負いません。

第13条(問い合わせ先)
○○株式会社 ○○キャンペーン事務局 メール:○○○@example.com 受付時間:平日○時~○時

企画ごとに追加する条項

企画の内容追加で検討する条項
商品を配送する配送先の範囲、住所の入力期限、不在時の扱い、発送時期
クーポンを配布する利用期限、対象店舗や商品、他の割引との併用、再発行の可否
フォローを条件にする判定の時点、解除された場合の扱い、非公開アカウントの扱い
酒類など年齢制限がある年齢確認の方法、確認できない場合の無効
ユーザーに動画を投稿してもらう権利の帰属、二次利用の範囲、第三者の権利の扱い、使用音源
イベントに招待する開催日時、交通費の負担、撮影の有無、同伴者の条件

ひな形の「未成年の方は保護者の同意を得たうえで」という条項だけで、すべての法的な問題が解決するわけではありません。特に16〜17歳の応募者から住所を取得する企画や、高額賞品の企画では、確認の方法を法務担当者と検討してください。

告知動画の設計とプロフィール導線

動画のネタ出しや秒数ごとの台本例はプレゼント企画のアイデア記事にまとめています。ここでは、1本の動画の作り方ではなく、キャンペーン全体でどの動画に何の役割を持たせるかと、動画から応募までの離脱をどう減らすかを扱います。

動画は「役割」で本数を決める

告知動画を1本作って終わりにすると、その1本が伸びなかった時点で打つ手がなくなります。次のように役割を分けて考えます。全部を作る必要はありませんが、最低でも「入口」「説明」「締切前」の3本は検討しましょう。

役割狙い主な内容投稿の時期
入口自社を知らない人に見てもらう商品を主役にした見て楽しい内容。最後に応募案内開始日
説明興味を持った人を応募まで連れていくDMの送り方の実演、賞品の詳しい説明開始直後
別の切り口違う関心を持つ層に届ける別の使用シーン、別の悩みへの解決策期間の前半〜中盤
人の登場企業アカウントの距離を縮める担当者や開発者の話、舞台裏期間の中盤
締切前迷っている人の背中を押す締切日時、当選者の枠が残っていること締切の数日前〜前日
結果・お礼次回につなげ、実施の透明性を示す当選数の報告、次回予告終了後

応募までの離脱ポイントと対策

DM応募では、動画を見た人が応募を終えるまでに、いくつもの離脱のポイントがあります。数字が悪いときは、動画全体を作り直す前に、どの段階の問題かを切り分けましょう。

段階起きやすい問題対策
動画の冒頭すぐにスワイプされる商品の変化や音、意外な場面から始める
動画の中盤キャンペーンだと気付かれない画面の端に「プレゼント実施中」と表示する
動画の終盤何をすればよいかわからない行動を1文で示す。「“応募”とDMで送るだけ」
プロフィール公式かどうか不安になる自己紹介欄に企業名、キャンペーン名、規約の案内を記載する
メッセージ画面送り方がわからない送信の手順を画面収録やイラストで動画にする
入力ワードを間違える短いワードにし、誤字のときの案内を返信する
送信できない年齢や設定でDMが使えない応募資格と問い合わせ先を案内する
返信の受信返信に気付かない「送信後、この画面に結果が届きます」と案内する
特典の受け取りURLを開くのが不安、期限を忘れるURLの遷移先と期限を明示する

台本の前に決める「1枚の設計シート」

個別の動画を作る前に、関係者で次の項目を埋めます。社内やクリエイターとの認識のずれを防げます。

項目記入例(架空の例)
この動画の役割説明。入口の動画を見た人に応募方法を伝える
見てほしい人朝の支度を短くしたい20〜30代
冒頭で見せる場面寝癖の髪が1分で整うところ
伝えることは1つだけ「応募はDMで“応募”と送るだけ」
必須の表示締切、当選数、応募資格の案内、規約の場所
開示の設定自社の宣伝として開示設定をオンにする
音源商用音源から選ぶ。候補は3曲
言わないこと「必ず直る」「誰でも当たる」
確認者広報、法務、商品担当

導線を説明する動画の構成例

プレゼント企画の動画では、賞品の紹介ばかりに時間を使い、応募方法の説明が不足しがちです。応募方法そのものを見どころにする「説明」の動画を1本用意すると、離脱を減らせます。以下は架空の例です。

秒数映像テロップ音声
0〜2秒スマホの画面と賞品を一緒に映す応募、10秒で終わります「応募、本当に10秒です」
2〜6秒プロフィールを開く手元① このアカウントのプロフィールを開く「まずプロフィールへ」
6〜10秒メッセージ画面でワードを入力② 「応募」と送る「『応募』と送るだけ」
10〜13秒結果の返信が届く画面(イメージと明記)③ 結果が届きます ※画面はイメージ「結果はこの画面に届きます」
13〜15秒賞品のカット○月○日まで/16歳以上が対象/詳細はプロフィールへ「締切は○月○日です」
賞品を映す、プロフィールを開く、応募と送る、結果が届く、締切と対象年齢を表示するという5コマの絵コンテ
図:上の構成を絵コンテにしたイメージ

実際の画面を映す場合は、ほかの利用者の名前やメッセージが映らないように注意します。また、動画で「10秒」と言うなら、実際に応募を試して極端にずれていないかを確認してください。

プロフィールとキャプションの設計

プロフィールは、応募の直前に公式かどうかを判断される場所です。キャンペーン期間中は次の要素をそろえます。

  • アカウント名:企業名やブランド名がすぐわかる表記にする
  • 自己紹介欄:キャンペーン名、応募ワード、締切を短く記載する
  • 固定の動画:応募方法がわかる動画を固定する
  • リンク:特設ページの応募規約へ案内する。アカウントの権限によって表示できるかが変わるため、次の段落を確認する
  • 公式サイトからの導線:自社サイトやほかのSNSから公式アカウントを案内し、本物であることを確認できるようにする

TikTokアカウントの権限レベルの公式案内によると、機能は一般、高度なアクセス権、認証済みビジネスアカウントの3段階で異なります。プロフィールリンクや企業情報は、高度なアクセス権では編集のみでプロフィールには表示されず、公開表示は認証済みビジネスアカウントの機能と整理されています。リンクを表示できない場合は、自社サイトのお知らせに規約を掲載し、「○○(ブランド名) キャンペーン」で検索できるようにするなど、別の確認方法を用意します。

自己紹介欄の例(架空の例)

○○ブランド公式|朝の支度を短くするヘアケア
【○/○まで】プレゼント企画実施中
「応募」とDMで送るだけ/16歳以上
規約はリンクから▼

企業名がわかるアカウント名、応募方法を短く書いた自己紹介、規約の案内、固定動画を注釈で示した架空のプロフィール画面
図:プロフィールの要素の例。画面はイメージで、実際の画面とは異なります

キャプションとハッシュタグの役割

公式の解説では、キャプション、音源、ハッシュタグは動画の情報として扱われるとされています。キャンペーンでは、キャプションを「応募の説明」だけで埋めず、動画のテーマを示す言葉も入れましょう。ハッシュタグは、数を増やすより、商品カテゴリーや企画の内容を正しく表すものを少数選びます。ハッシュタグの数と表示回数の関係を断定する公式情報は確認できませんでした。

キャプションの例(ヘアケアの説明動画)(架空の例)

朝の寝癖、1分で整える手順を見せます。
新商品○○を抽選で○名様にプレゼント。
応募は「応募」とDMで送るだけ/○月○日23:59まで/16歳以上
規約はプロフィールのリンクから
#ヘアケア #朝の支度 #プレゼント企画

コメント欄の活用

コメントでの応募を受け付けない場合でも、コメント欄は重要です。「コメントでは応募になりません」という誤解は、放っておくと広がります。投稿の直後は担当者が確認し、次の対応を決めておきましょう。

  • コメントで応募しようとしている人に、DMでの応募方法を案内する
  • よくある質問への答えを固定コメントで示す
  • 主催者を装って「当選しました」と書き込むアカウントに注意を促し、報告する

参考リンク

TikTokの公式ルール:確認すべき5つの領域

この節は、2026年9月24日発効のコミュニティガイドラインや、TikTok for Businessのヘルプなどの確認結果に基づきます。今回確認した範囲では、TikTokのキャンペーンやプレゼント企画だけを対象にした専用のガイドラインは見つかりませんでした。そのため、以下の複数のルールを組み合わせて判断する必要があります。

商業的な投稿の開示

見落とされやすいのが、自社アカウントの投稿も開示の対象になる点です。コミュニティガイドラインでは、商業的なコンテンツを投稿する場合はコンテンツ開示設定で明確に開示する必要があるとしたうえで、次の2つを開示が必要な場合として挙げています。

場面キャンペーンでの例対応
自社のビジネス、製品、サービスを宣伝する自社アカウントの告知動画開示設定を使う。プレゼント企画の告知だから不要と考えない
見返りを受けてブランドコンテンツを投稿するクリエイターへの依頼投稿、商品提供を受けた投稿商用コンテンツ公開トグルを有効にする。第三者に代わって投稿する場合はブランドコンテンツのラベルが付く

適切に開示されていない商業コンテンツは、表示の制限や開示設定の適用の対象になることがあります。繰り返した場合には、投稿の一時的な制限やアカウントの永久停止につながる可能性も示されています。投稿の手順に「開示設定の確認」を必ず組み込みましょう。

商用音源

TikTok for BusinessのCommercial Music Libraryの案内では、企業向けの音楽ライブラリとして次のように説明されています。

  • 約100万曲を含むグローバルなライブラリで、企業向けに無料で提供されている
  • Commercial Soundsはオーガニックと広告の両方の動画に利用できる
  • ビジネスアカウントでは、音源を追加する際にCommercial Soundsのみが表示される
  • 個人アカウントでも、音源のメニューからCommercial Soundsを選べる
  • キャンペーンを実施する地域を選んで、その地域で使える音楽を確認する

また、TikTokの音楽の利用確認ページでは、著作権で保護された音楽を動画に含める場合、楽曲と原盤の両方について必要な権利を得ていることを確認するよう求めており、確認できないまま投稿した場合には動画が削除される可能性があるとされています。

外部の楽曲を使いたい場合は、JASRACの動画投稿サービスでの音楽利用の案内も参考になります。音源の製作者(レコード会社等)の許諾が別途必要なことや、動画の目的が広告の場合には手続きが必要になることが、フローチャートで説明されています。

音源で確認すべき場面

  • 個人アカウントで流行している音源を、企業の告知動画に使っていないか
  • 外部で編集した動画に、権利が未確認の楽曲が入っていないか
  • クリエイターの投稿の音源が、依頼内容に合わせて確認されているか
  • 同じ動画をInstagramやYouTubeなどへ流用しないか(TikTok外での利用の可否は、今回確認した案内には記載がないため、権利者や提供元の条件を確認する)
  • ユーザーに投稿してもらう企画で、使える音源の案内があるか

偽のエンゲージメントと自動化

コミュニティガイドラインでは、次のような行為が問題とされています。

  • 人為的にエンゲージメントを増やしたり、おすすめシステムを欺いたりするサービスの取引
  • 偽の「いいね」、フォロワー、その他の水増しされたシグナル(削除の対象)
  • TikTokのシステムを回避するよう設計された自動化ツールやスクリプト
  • 他者を欺くための複数アカウントの利用

一方、同じガイドラインのアカウントと機能の章には、「一部の企業では、メッセージへの返信に自動化されたツールも使用しています」との記載があり、Business Messaging APIという公式の仕組みも用意されています。公式の自動メッセージ機能もあります。つまり、DMの自動返信そのものが否定されているわけではありませんが、公式の仕組みの範囲で使うことが前提になります。ツール選びの節で確認項目をまとめました。

年齢の条件

コミュニティガイドラインで確認できた年齢の条件は次のとおりです。

機能年齢の条件キャンペーンへの影響
アカウントの登録13歳以上動画を見る人の中に、13〜15歳が含まれる
DM16歳以上DM応募の対象は16歳以上。13〜15歳は応募できない
LIVEの開始、LIVEでのギフト送信18歳以上LIVEを企画に組み込むときは未成年の参加方法に注意する
収益化機能18歳以上未成年のクリエイターへの依頼では、条件を個別に確認する

動画は16歳未満にも表示される可能性があります。「応募できない人が見ることがある」ため、動画内で「16歳以上が対象」と示すと、応募できない人の混乱を減らせます。主な顧客が中学生の商品なら、DM応募は目的に合いません。別の形式を検討しましょう。

なりすまし・詐欺に関するルール

コミュニティガイドラインは、詐欺や欺瞞、フィッシング、身分盗用などを許容しないとしています。別の章でも、なりすましやスパムは禁止行為に含まれています。自社を装うアカウントを見つけたら、TikTokのなりすましの報告の案内に沿って報告します。

法律の整理:景品表示法・ステマ規制・個人情報・未成年

ここからは日本の法律です。この節は一般的な情報の整理であり、個別の企画の適法性を判断するものではありません。判断に迷う場合は、弁護士や所管の窓口に相談してください。

景品表示法:まず応募条件で分類する

景品表示法の景品規制は、「取引に付随して」提供される景品類に上限を定めています。そのため、最初に確認すべきことは賞品の金額より「応募に購入や来店が関係するか」です。消費者庁の景品に関するQ&Aの整理を、TikTokの企画に当てはめると次のようになります。

TikTokの企画の例考え方の手がかり分類の目安
フォローやいいねで応募、購入や来店は不要Q18:通常は取引に付随しない景品規制の対象外(他に購入につながる事情がない場合)
DMで応募、購入や来店は不要Q&AにDM応募の記載はないが、Q18と同様に考えられる余地がある対象外の可能性。個別に確認する
商品の画像を投稿すると当選確率が2倍Q19:購入の蓋然性が高いとして取引に付随一般懸賞
応募した全員に、来店時に景品を渡すQ20:来店が必要で、もれなく提供総付景品
商品パッケージに応募方法を記載するQ22:商品の取引の相手方が主な対象一般懸賞
店舗で使える割引券を賞品にするQ21:正常な商慣習の値引と認められれば景品類に含まれない内容によって個別に確認する

Q番号は消費者庁の景品に関するQ&Aのものです。Q&Aは改定されることがあるため、最新の内容を確認してください。

応募や受け取りに購入や来店が必要かを起点に、景品規制の対象外の可能性、懸賞、総付景品に分かれる判断の流れの図
図:応募条件から分類を考える流れ。目安であり、個別の企画の判断ではありません

取引に付随する場合の上限は次のとおりです。

  • 一般懸賞:取引価額5,000円未満は取引価額の20倍まで、5,000円以上は10万円まで。総額は懸賞に係る売上予定総額の2%まで
  • 共同懸賞:取引価額にかかわらず30万円まで。総額は売上予定総額の3%まで
  • 総付景品:取引価額1,000円未満は200円まで、1,000円以上は取引価額の10分の2まで

また、購入や来店を条件としないオープン懸賞には、提供できる金品等の具体的な上限額の定めはありません(消費者庁「景品規制の概要」)。詳しい考え方は、景品表示法の表による解説も参考にしてください。

TikTokで分類が変わりやすい3つの場面

  • 動画の投稿者を優遇する。商品を購入した人の投稿を当選しやすくする仕組みは、購入を促すものと判断されることがあります。
  • 受け取りを来店に限定する。応募は無料でも、受け取りに来店が必要だと取引に付随する場合があります。
  • 購入者限定のワードを配る。商品に応募ワードを記載すると、誰でも応募できる形に見えても、取引に付随すると判断されることがあります。

参考リンク

当選数と抽選方法の表示

消費者庁の一般懸賞についてのQ&Aでは、抽選の具体的な方法は法律で定められていないものの、告知した方法と別の方法で当選者を選ぶことは参加者に疑念を抱かせることになると説明されています。また、前述のとおり、実際の当選者数が告知した数に満たない場合は不当表示のおそれがあります。

2024年10月施行の改正景品表示法では、故意に優良誤認・有利誤認表示を行う行為に対する直罰(100万円以下の罰金)も新設されました。「誰でも当たる」「全員もらえる」のように、実態と異なる表示をしないのはもちろんのこと、確率や当選枠の設定を動画の表現と一致させましょう。

ステマ規制:誰の表示かを明確にする

消費者庁のステルスマーケティングの解説によると、広告であることを消費者が判別しにくい表示は、2023年10月1日から景品表示法違反となっています。規制の対象は商品やサービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は規制の対象ではありません。つまり、違反した場合に責任を問われるのは依頼した企業です。

消費者庁のQ&Aをもとに、TikTokの場面に当てはめた確認事項をまとめます。

場面判断の方向対応
クリエイターに報酬を払って投稿を依頼事業者の表示にあたる可能性が高い広告、宣伝、PRなどを明示し、ブランドコンテンツの開示設定も使う
無償で商品を提供し、内容は指定しない提供しただけでは直ちに事業者の表示にならないが、依頼や関係の実態で判断されるやり取りの内容を確認する。提供を受けた旨の記載を促すと分かりやすい
投稿チャレンジで内容を指定しない内容の指示がなければ、一般に事業者の表示になりにくい投稿の自由を確保し、当選を内容の良し悪しで恣意的に決めない
高評価や特定のフレーズを投稿の条件にする事業者が内容を決めており、事業者の表示になる条件を外すか、広告であることを明示する
投稿を「お客様の声」として二次利用好意的なものだけを選ぶと問題になりうる選定の基準を確認し、事業者との関係を明示する

動画の場合、Q&Aでは冒頭だけの表示は見逃されやすく、全体を通した表示が望ましいとされています。また、コメント欄など別の場所だけでの表示は不十分になりやすいとされています。TikTokの開示設定を使っていれば安心と考えず、動画全体として広告だとわかるかを確認しましょう。なお、消費者庁のQ&Aは、特定のプラットフォームの開示機能だけで足りるかどうかまでは言及していません。業界団体のルールとしては、クチコミマーケティング協会のWOMJガイドラインも参考になります。

参考リンク

個人情報:DMと外部フォームを分けて考える

DMのアカウント名やメッセージの内容、当選者の住所や氏名などは、個人情報にあたる可能性があります。扱う情報を少なくすることが、最も確実なリスク対策です。

情報取得の場所注意点
アカウント名、応募日時DMキャンペーンの運営に必要な範囲で管理する。担当者のアクセスを限定する
氏名、住所、電話番号当選者だけが使う外部フォームDMで直接受け取らない。利用目的を明示し、通信を暗号化する
メールアドレス外部フォーム広告メールを送るなら、当選連絡とは別に同意を得る
年齢、生年月日必要な場合のみ酒類など、確認が本当に必要な企画に限定する
金融情報、パスワード取得しない当選連絡で求めない。TikTokのMessaging Adsのポリシーでも、会話での機微な情報の要求を避けるよう定めている

メールアドレスを取得して、後日お知らせを送る場合は、特定電子メール法の確認も必要です。同意のない相手への広告や宣伝のメールは原則禁止で、送信者の氏名や名称、受信拒否の連絡先などの表示も義務付けられています。応募規約の隅に小さく記載しただけでは、同意の取得として不十分となる場合があるとされています(総務省・消費者庁のガイドライン。最新版を確認してください)。

未成年の参加

個人情報保護委員会のQ&Aでは、本人の同意が必要な場面で未成年者が判断できない場合は法定代理人等の同意を得る必要があり、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもについて法定代理人等の同意が必要と考えられるとされています。また、2026年7月17日に公布された改正個人情報保護法についても、個人情報保護委員会の公表資料を確認してください。法案の説明資料では、16歳未満の人の同意取得や通知の相手を法定代理人とすることの明文化などが示されています。施行は一部を除き公布から2年以内とされており、詳しい内容は検討が進められています。

DM応募は16歳以上が対象ですが、16〜17歳は未成年です。次のような対応を検討してください。

  • 応募資格に年齢を明記し、未成年は保護者の同意のうえで応募するよう案内する
  • 高額な賞品、配送が必要な賞品では、受け取りの段階で保護者の同意を確認する
  • 酒類やタバコなど、年齢制限のある賞品は扱わないか、応募資格を厳格に定める
  • 過度に射幸心をあおる表現や、すぐに応募しないと損をするかのような表現を避ける
  • イベントに招待する場合は、夜間の参加や交通手段にも配慮する

抽選の設計と不正応募対策

抽選方式の細かな比較と、当落の文面の基本はTikTokの抽選方法の記事にまとめています。ここでは、設計担当者が判断すべき論点に絞ります。

インスタントウィンか、締切後の抽選か

消費者庁のQ&Aでは、懸賞の方法として「くじその他偶然性を利用して定める方法」や「特定の行為の優劣又は正誤によって定める方法」が示されています。インスタントウィンという名前の方式について個別の説明は確認できませんでしたが、応募者にとっては偶然性で当落が決まる抽選です。一方、先着順はQ&A上の整理が異なり、購入や来店を条件とする場合は総付景品の枠組みで扱われます。「抽選」か「先着」かは、表現の問題だけでなく法律上の分類にも関わるため、正確に表示しましょう。

判断の軸インスタントウィンが向く締切後の抽選が向く
特典コード、URLで渡せる現物、高額、個別調整が必要
応募者の気持ち結果をすぐ知りたい、ついでに参加したい待ってでも欲しい賞品がある
主催者の体制自動返信の仕組みがある応募数が少なく、手作業で返信できる
当選者の確認当選時の条件が単純当選者を確定する前に細かく確認したい
話題づくり当選のその場の体験を動画につなげられる結果発表の動画で再度の接触を作れる

公平性を説明できるようにする

当落の公平性は、当選者より落選した人に説明できる必要があります。実施の前に、次の内容を記録しておくと、問い合わせが来たときに役立ちます。

  • 抽選のルールと、設定した日時、設定した担当者
  • 当選枠の配分と、途中で変更した場合の理由
  • 応募の受付開始と締切の時刻
  • 無効とした応募の件数と理由
  • 当選者数と受け渡しの完了数

当落を手作業で調整できる状態は、不正を疑われる原因になります。特定の人を当選させる、関係者を当選させる、といったことができないよう、運用のルールを定めましょう。

不正応募の種類と対策

TikTokでは、賞品目当てで複数のアカウントから応募するケースが考えられます。完全に防ぐことは難しいため、賞品の価値に応じて対策の強さを変えます。

不正の種類見つけ方の例対策
複数アカウントでの応募作成直後で投稿がない、名前が連番規約で無効と定める。受け取りの情報で重複を確認する
同じ人の連続応募同じアカウントから複数回送信1人1回の判定をする。2回目以降の返信文を用意する
コード・URLの転売フリマサイトなどでの出品1人1コード、使用1回、短めの期限にする
当選画面の偽造店頭で画像だけを提示する店頭で読み取るコードを個別に発行する
関係者の応募応募者リストと社内の照合規約で対象外とし、社内にも周知する
まとめて応募する業者短時間に似た形式のアカウントが集中記録を残して調査する。枠の配分を分割して影響を抑える

判定をやりすぎない

「投稿がないアカウント」だけで無効とすると、見る専門の利用者を誤って除外するおそれがあります。無効の条件は規約で事前に示し、1つの特徴だけで機械的に判断せず、複数の情報から確認しましょう。無効にした判断は、後から説明できるように記録します。

当落の返信と特典の受け渡し

TikTokキャンペーンの体験は、DMの返信で完結します。応募者にとっては、この短いやり取りが企業との最初の会話になることもあります。

DMの仕様で確認しておくこと

DMの自動返信には、公式のBusiness Messaging APIがあります。連携先のプラットフォームを通じて、認可されたアカウントがユーザーとDMをやり取りするための仕組みで、2026年11月時点ではオープンベータとされています。公式資料で確認できた条件は次のとおりです。

項目公式資料の内容キャンペーンへの影響
地域未提供はEEA、スイス、英国。米国は追加審査が必要。その他の地域は通常の審査でよいとされる日本で登録されたアカウントは、この整理ではその他の地域にあたる
アカウント高度なアクセス権を持つアカウント、または認証済みビジネスアカウントのみ。一般のアカウントは対象外開始前に権限の確認が必要
所有者の年齢アカウントの所有者が18歳を超えていること法人なら通常は問題になりにくいが、個人名義なら確認する
ツール提供者データセキュリティとプライバシーの審査の通過が必要ツールを選ぶときに審査の状況を確認する
会話の開始会話を始めていないユーザーへの送信は禁止応募DMが起点になる
文字数テキストは6,000文字まで。テキストと画像は同時に送れないコードやURLは文字で送る設計がわかりやすい
画像対応している国どうしでのみ送受信できる画像の送信を前提にしない。APIで確認できる

送信できる通数は、Messaging limitsに次のとおり定められています。相互フォローでない会話に適用される制限です。

ユーザーの最初のDMから48時間は最大10通、ユーザーの返信から48時間は上限なし、最後の返信から48時間を超えると追加で最大3通になることを示すタイムライン
図:DMの送信数の制限(TikTok公式資料をもとに作成。2026年11月確認)

インスタントウィンの場合、応募DMへの返信は通常1通で済むため、この制限の影響は小さいと考えられます。一方、締切後の抽選では、応募から48時間を超えると応募者が返信しない限り追加で最大3通に限られます。受付の確認、当選の連絡、期限のリマインドなどで通数を使い切らないよう、設計が必要です。また、送信APIの説明には、制限の説明が簡略化されて記載されているため、実装の前に最新の資料とあわせて確認してください。

APIを使わない方法として、公式の自動メッセージ機能もあります。ウェルカムメッセージ、キーワードに完全一致したときの自動返信、質問の提案、チャットプロンプトが用意されており、高度なアクセス権または認証済みのアカウントで使えます。固定の案内を返すには便利ですが、応募ごとに抽選して当落を出し分ける機能は、公式の案内には記載がありません。

返信の回数に制約があることを踏まえて、1通目の返信に必要な情報をまとめておくことが重要です。

参考リンク

返信の分岐表:開始前に全パターンを作る

当選と落選以外の場面こそ、問い合わせが増える原因です。次の分岐を事前に準備します。文面はすべて架空の例です。

状況返信文の方針
開始前のメッセージ開始日時を案内する。応募にならないことを伝える
応募ワードが一致抽選し、当落を返す
表記ゆれ応募として扱うか、正しいワードを案内する
まったく別の内容受付専用であることと、問い合わせ先を案内する
2回目以降の応募1人1回であることと、前回の結果の確認を案内する
当選枠の終了後受付の終了と、実施内容に応じた案内を返す
締切後終了を伝え、次回の情報の入手先を案内する
賞品や規約の質問規約ページへ誘導し、必要なら担当者が対応する
個人情報が送られてきた担当者が確認し、DMで送らないように案内する
苦情、強い不満自動で返さず、担当者へ引き継ぐ

当選返信で必ず入れる6つの要素

  1. 誰からの連絡か(公式アカウント名、キャンペーン名)
  2. 当選の事実
  3. 受け取りの手順(1手順ずつ)
  4. 期限(年月日と時刻)
  5. 金銭やパスワードを求めない旨
  6. 問い合わせ先

当選返信の例(クーポン)(架空の例)

【○○ブランド公式|夏のプレゼント企画】
おめでとうございます!ご当選です。
次のクーポンコードを、公式オンラインストアの購入画面で入力してください。
コード:XXXX-XXXX
有効期限:20XX年○月○日 23:59
※お一人様1回限り。第三者への譲渡はできません。
※当社が手数料やカード情報をこのDMで求めることはありません。
お問い合わせ:○○キャンペーン事務局(規約ページに記載)

当選返信の例(商品配送)(架空の例)

【○○ブランド公式|新商品プレゼント企画】
おめでとうございます!ご当選です。
賞品のお届けのため、○月○日 23:59までに、次のフォームからお届け先をご入力ください。
(フォームのURL)
※住所などはこのDMに送らないでください。
※送料はかかりません。
※期限までにご入力がない場合は、当選が無効になります。

応募とのメッセージに対する、当選の返信と落選の返信の例を2台のスマートフォン画面で示したイラスト
図:返信の例。画面はイメージで、実際の画面とは異なります

落選の返信では、「残念でした」だけで終わらせず、次の行動を1つだけ案内します。たとえば、商品ページ、次回の企画の予告、フォローの案内などです。落選の直後に強く購入を勧める文面は、反発を招くことがあるので注意しましょう。

特典の受け渡し方法を比較する

方法長所主な手間とリスク対策
共通クーポンコード準備が簡単SNSなどで拡散されやすい上限と短い期限を設定する
個別クーポンコード利用数が正確にわかる発行と紐付けの準備が必要コードを事前に用意し、数を照合する
個別の特典URLクリックや利用を計測しやすいURLの転送リスク1回限りの利用、遷移先の説明を用意する
デジタルギフト受け取りが簡単費用が先に発生することがある未使用の扱いと期限を確認する
商品の配送商品体験につながる住所の取得、再送、未受領の対応フォームと期限を決め、委託先を管理する
店頭での引き換え来店につながる景品規制の分類、店舗の負担事前に法的な分類を確認し、店舗に手順を周知する

特典URLの遷移先は、応募者の不安を減らす要素です。公式のドメインを使い、ページの冒頭に企業名とキャンペーン名を表示します。短縮URLは遷移先が見えず不安を与える場合があるため、使う場合は説明を添えましょう。

炎上・なりすまし等のリスク対応

TikTokでは、拡散の中心がフォロワー外にあるため、問題が起きたときに想定外の範囲まで届く可能性があります。起こりうる場面を先に洗い出し、判断者を決めておくことが重要です。

リスク別の予防策と初動

リスク予防策起きたときの初動
偽アカウントの当選連絡連絡方法の限定を告知する。公式サイトから公式アカウントを案内する報告、注意喚起、公式サイトへの掲載
当選枠の誤設定別アカウントでのテスト、日次の確認受付を一時停止。影響範囲を確認し、対応を説明する
特典URLの誤送信送信前のテスト、当選者ごとのコード発行URLを停止し、対象者に再案内する
規約の不備や矛盾法務確認、動画と規約の照合修正と周知。不利益を受ける人への対応を判断する
商品や演出への批判過度な演出を避ける。複数部門で確認する事実確認の上で非公開や修正を判断する
未成年に関する問題対象年齢の明示、賞品の選定保護者や所管の窓口への対応を法務と確認する
個人情報の漏えい権限の管理、不要な情報の削除社内の手順に沿って事実確認と報告を行う
クリエイターの不祥事や誤発信契約と事前確認、削除の手順の合意投稿の修正や公開停止、関係の説明
音源の権利トラブル商用音源のみを使い、記録を残す動画の差し替えや非公開、権利者への対応
アカウントの制限開示とガイドラインの確認通知内容を確認する。手順がある場合は異議申立を検討する

なりすましへの備え

プレゼント企画は、偽の当選連絡の口実に使われやすい施策です。特にTikTokでは、当選者への連絡手段がDMであることから、応募者が「DMの連絡は本物」と思い込みやすい面があります。次の準備をしておきましょう。

  • 当選連絡は「応募したDMへの返信」のみと明記する
  • 金銭、カード情報、パスワード、認証コードを求めないことを、動画、規約、返信文で繰り返し伝える
  • 自社サイトに公式アカウントのURLを掲載し、本物を確認できるようにする
  • 検索とコメント欄を定期的に確認し、類似アカウントを記録する
  • 企業認証の取得を検討する(公式の案内では日本も対象市場に含まれる。日本で使える書類は書類の案内で確認する)
  • 報告の担当者と手順を決め、TikTokのなりすましの報告の案内を共有しておく
本物の連絡と偽の連絡の見分け方を左右に比較した図
図:応募者に伝えたい、本物の連絡と偽の連絡の見分け方の例

問題が起きたときの流れ

  1. 検知コメント・DM
  2. 止血受付や投稿の停止
  3. 確認事実と影響範囲
  4. 判断責任者が決定
  5. 説明公式の発信
  6. 再発防止記録と手順
図:キャンペーンで問題が発生したときの対応の流れ

TikTokのコメント欄で個別の議論を続けると、動画の表示が増えて、話題が広がることもあります。訂正や謝罪は、固定コメントだけでなく公式サイトや新しい動画など、後からでも確認できる場所にも掲載しましょう。

お知らせ文のひな形

【○○キャンペーンに関するお知らせ】
○月○日○時頃より、○○の事象が発生していることを確認しました。ご応募いただいた皆さまにご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
対象:○○の方
現在の状況:○○
今後の対応:○○(○月○日までにご案内します)
お問い合わせ:○○
なお、この件について当社が金銭や個人情報をDMでお願いすることはありません。

運用体制と役割分担

TikTokキャンペーンは「SNS担当が1人で全部やる」と止まりやすい施策です。特に動画と法務の確認、期間中の監視が重なります。兼任でも構わないので、次の役割を決めましょう。

役割担当すること不在の場合に起きること
企画責任者目的、予算、中止の判断問題が起きたときに判断が遅れる
動画担当企画、撮影、編集、開示、音源本数が足りず、改善ができない
運用担当投稿、監視、DMとコメントの確認誤解や問い合わせに気付かない
法務・審査担当規約、表現、景品の分類の確認終盤で差し戻しが発生する
特典・物流担当コード発行、配送、店舗への連絡当選後の受け渡しが滞る
分析担当指標の定義、日次の確認、報告終了後に比較できる数字が残らない

Instagram・Xと同時に実施するときの注意

同じ商品を複数の媒体で展開するときは、次の点を決めておきましょう。

  • 応募要項は媒体ごとに分ける。応募方法、応募資格、当落の連絡方法が違うためです。
  • 重複応募の扱いを決める。媒体をまたいだ応募を認めるか、当選者数の枠をどう分けるかを明記します。
  • 素材を使い回さない。公式の解説では、使い回しに見えるコンテンツはおすすめに表示されない可能性があるとされています。ほかの媒体の告知素材を縦に変換するだけでは足りません。
  • 音源の権利を確認する。TikTok用に許諾された音源を他媒体でも使えるとは限りません。
  • 評価を媒体ごとに行う。応募の手間が異なるため、応募数の単純な比較では判断できません。

社内の承認を得るときに聞かれること

TikTokの施策は、社内で「若者向けでは」「炎上しないか」と聞かれやすいものです。承認の資料には次の答えを用意しておくと、話が早く進みます。

聞かれること用意する答え
なぜTikTokなのか顧客の年代、未接触の層に届く可能性。公的調査の利用率を添える
いくらかかり、何が成功か費用の項目と、主KPIの悲観、標準、楽観の試算
応募が来なかったらどうするか動画の追加、広告の少額テスト、当選数の表現の確認
応募が来すぎたらどうするか自動返信の能力、当選枠の管理、特典の上限
法律やルールは問題ないか景品の分類、開示、音源、規約、個人情報の確認結果
炎上したらどうするか中止の判断者、お知らせの手順、連絡の体制
終わった後に何が残るか動画素材、応募のデータの範囲、次回の改善点、運用の手順

広告・クリエイターとの併用

オーガニックの投稿は、どこまで届くかを事前に保証できません。「開始日に最低限届ける」「伸びた動画をさらに伸ばす」「自社にない切り口を足す」といった目的で、広告やクリエイターを組み合わせます。

主な広告メニューとキャンペーンでの使い方

次の情報は、TikTok for Businessのヘルプで確認した内容の要約です。提供の範囲や条件は地域やアカウントで異なることがあるため、日本での利用条件は広告管理画面や公式の窓口で確認してください。

メニュー公式の説明の要点キャンペーンでの使い方注意点
Spark Adsオーガニック投稿を広告として配信する形式。他のクリエイターの投稿も許可があれば利用できる反応のよい告知動画を広げる。クリエイターの動画を広げる他者の投稿は認可が必要。認可の期間を確認する
Promote(リード獲得)フォーム、電話、メッセージで見込み客の情報を集められる。ビジネスアカウントが必要で、対象は18歳以上資料請求や体験申込を目的とする企画で検討する18歳以上に限られる。商用音源を使っていない動画では利用できない場合がある
Messaging Ads見込み客が企業との会話を始める広告。TikTokのDMへ誘導するDirect Messaging AdsがあるDM応募との相性を検討する配信にはDMの許可設定を「全員」にする必要がある。広告とDMの内容を一致させる

Messaging Adsのポリシーでは、広告の主張と会話の内容を一致させること、無料と示した特典に支払いを求めないこと、TikTokのブランドを使ったクーポンや特典を会話に含めないことなどが定められています。DM応募キャンペーンと組み合わせる場合は特に確認しましょう。また、広告の配信先や年齢の条件が、キャンペーンの応募資格と矛盾しないようにします。

参考リンク

広告を使うかの判断基準

状況判断の目安
初めてで、自社の数字がない少額でテストする。動画ごとの反応を比べる学習の費用と考える
オーガニックの動画に伸びたものがあるその動画を優先して配信する
どの動画も冒頭で離脱している広告を増やす前に動画を直す
開始日が決まっていて確実に届けたい配信枠の準備や審査の時間を見込んで計画する
特典の枠が少ない応募の集めすぎに注意し、広告費と特典の配分を見直す
1応募あたりの価値を説明できないまず計測の設計を行う

クリエイター起用の設計

クリエイターの起用は、「その人の視聴者に合わせて商品を語り直してもらう」ことに価値があります。フォロワー数だけでなく、次の点を確認して選びましょう。

  • 視聴者の年代や関心が、商品の顧客と合っているか
  • 過去の投稿の視聴数に、極端なばらつきがないか
  • 商品と自然につながる投稿の型があるか
  • 依頼を受けた投稿で適切に開示をしているか
  • 過去の投稿に、ブランドとして許容しにくい内容がないか
  • 依頼する商品がブランドコンテンツポリシーで扱えるものか

クリエイターへの依頼書に入れる項目

  • キャンペーンの目的、期間、応募方法、応募ワード
  • 必ず伝えること(締切、応募資格、規約の場所)
  • 言ってはいけないこと(効能の断定、誰でも当たるなどの表現)
  • 開示の方法(TikTokの開示設定と、動画内の広告である旨の表示)
  • 使用できる音源と、権利確認の方法
  • 報酬、商品提供の条件
  • 事前確認の範囲、修正の回数と期日
  • 投稿の保持期間、Spark Adsの利用と認可の期間
  • 二次利用の範囲と、問題が起きたときの連絡先
  • 応募の連絡先が、依頼主の公式アカウントであること

応募の連絡先には注意が必要です。クリエイターのアカウント宛にDMを送らせる形にすると、当落の管理やなりすましの判断が難しくなります。応募先は企業の公式アカウントに一本化し、クリエイターの動画からは公式アカウントへ誘導するのがわかりやすい方法です。

効果測定と次回への改善

TikTokキャンペーンの評価は、「動画の反応」「応募」「特典の利用」「事業への影響」の4層に分けて行います。層を混ぜると、問題の原因がわからなくなります。

層指標の例低いときに疑うこと
動画視聴者数、平均視聴時間、完全視聴率、シェア、保存冒頭、テーマ、長さ
導線プロフィールへの訪問、応募者数、応募率案内の明確さ、賞品の魅力、DMの手間
受け渡し返信の完了率、特典URLの到達率、受け取り完了率返信の遅れ、文面の不安、期限の短さ
事業クーポン利用数、売上、新規顧客比率、資料請求数賞品と商品の関係、受け取り後の導線
資産終了後のフォロワー残存数、次の動画の視聴数賞品目当ての応募者が多すぎる、次の投稿がない

プロフィールへの訪問数などの数字は、TikTokの分析機能で見られる範囲がアカウントの設定や時期によって異なります。開始前に見られる項目を確認し、見られないものは別の方法で補いましょう。たとえば、特典URLに計測パラメーターを付ける、クーポンコードを動画別や媒体別に分けるといった方法です。

費用対効果の計算

費用対効果を計算するときは、「応募1件あたりの費用」だけでなく、最終的に事業の成果1件あたりいくらかかったかまで見ます。以下はすべて仮の数字です。

項目金額・件数(仮の数字)計算
総費用500,000円賞品、制作、広告、ツールなどの合計
応募者数2,000人重複と無効を除いた数
1応募あたりの費用250円500,000÷2,000
クーポン利用数100件コードの利用実績
1利用あたりの費用5,000円500,000÷100
利用者の平均粗利2,000円利用者の購入データから算出
短期の回収額200,000円100×2,000

この例では、短期の回収額だけを見ると費用を下回ります。ただし、話題化や認知、将来の再購入を目的とする場合は、別の評価も必要です。「いくら戻れば成功か」を開始前に決めておきましょう。また、キャンペーンがなくても売れた分を除くため、前年や実施前の期間、実施していない地域や店舗と比較するなどして、純粋な増加分を見ると、判断の精度が上がります。

報告書のひな形

1枚で報告する項目

  • 目的と主KPI、開始前の目標
  • 実施概要(期間、形式、賞品、当選数、投稿本数)
  • 結果(動画、応募、受け渡し、事業の4層)
  • 費用(賞品、制作、広告、ツール、社内工数)
  • 動画別の比較(最もよい動画と悪い動画の違い)
  • 問い合わせとトラブルの内容、対応
  • 次回にやめること、続けること、試すこと

次回に向けた改善の順番

改善を一度に全部行うと、何が効いたのかがわかりません。次の順番で1つずつ検証します。

  1. 動画の冒頭:同じ賞品で、冒頭の見せ方だけを変える
  2. 応募案内:DMへの案内の出し方を変える
  3. 賞品の切り口:価格ではなく、商品との関係を変える
  4. 当選の設計:当選数、配分の方式を変える
  5. 受け取り後の導線:クーポンの使い方、遷移先を変える
  6. 配信の方法:広告やクリエイターの組み合わせを変える

応募者のアカウントへの連絡も、仕様や規約の範囲で慎重に判断します。過去に当選した人へ改めて案内を送りたい場合などは、当初の利用目的や同意の範囲、DMの送信条件を確認してください。

費用と内製・ツール・代行の比較

TikTokキャンペーンの費用は、賞品代だけではありません。動画の本数が増えるほど、制作費と社内工数が効いてきます。

費用の項目

項目内容増えやすい場面
賞品・特典商品原価、ギフト費用、クーポンの値引き分応募や利用が想定以上に増えたとき
受け渡し送料、梱包、再送、コード発行、事務局費配送が多いとき
動画制作企画、撮影、編集、出演本数が多い、外注するとき
音源外部の音源を使う場合の権利処理費商用音源以外を使うとき
広告配信費確実に届けたいとき
クリエイター報酬、商品提供、二次利用料本数や利用範囲が広いとき
ツール応募受付、抽選、返信の費用長期間、複数回実施するとき
法務確認社内工数または外部の専門家の費用規制が多い業種のとき
社内工数企画、確認、対応、報告手作業が多いとき

具体的な予算の組み立て方は、媒体が違いますがXキャンペーンの費用の記事の分解の考え方も参考になります。TikTokでは、これに加えて動画の制作費の比重が大きくなる点が異なります。

内製・ツール・代行の比較

観点すべて内製(手作業)ツールを利用代行に委託
費用の中心社内の人件費ツール費+社内工数委託費
対応しやすい応募数少数多数契約内容による
夜間・休日の返信難しい自動化できる契約内容による
インスタントウィン現実的でない可能(製品による)可能(委託先による)
企画の自由度高いツールの仕様に左右される委託先の得意分野に左右される
社内にノウハウが残るか残りやすい残りやすい共有の方法次第
向いている例応募数が少ない、試験的な実施定期的に実施する、応募の集中が予想される社内に動画や運用の体制がない

判断に迷う場合は、「手作業でさばけなくなる応募数」を計算します。1件の処理にかかる時間に想定応募数を掛け、担当者が割ける時間と比べます。たとえば、仮に1件2分で1,000件なら約33時間です。この計算に、夜間や休日に返信できない分の体験の悪化も加味して判断しましょう。

手作業の負担を減らすには

当落の返信、特典の配布、集計は、準備さえできていれば自動化しやすい作業です。「キャンペーンメーカー for TikTok」は、この部分を自動化するツールです。なお、対象はDM応募キャンペーンで、フォロー&いいね応募の自動化はできません。

  • 指定ワードの応募DMを24時間受付
  • 事前に設定した当選数・ルールでその場で抽選し、当落と特典を自動返信(インスタントウィンが標準で、後日まとめて抽選する形式は原則受け付けていません)
  • クーポンコードや特典URLを当選の返信に添えて配布
  • 送るのは事前に設定した文面だけで、AIがその場で文章を生成して送ることはありません
  • 応募者リストと基本レポート(応募数の推移、当選数、返信状況)で結果を確認
  • TikTokの規約や景品表示法等に沿った設計か(楽曲・景品の表示を含む)を設計段階で確認

料金は、1回単位のスポットが128,000円/回、年間契約が月額49,800円(年間一括598,000円)、完全代行が330,000円〜です(すべて税別)。「月額49,800円」は年間契約の場合の金額で、スポットの料金ではありません。スポットを年に5回利用すると合計640,000円で、年間一括の金額を上回ります。年間の実施回数が多い場合は、契約の条件を確認したうえで比べてみてください。なお、成果を保証するものではありません。

自動化ツールを選ぶときの確認項目

どのツールを使う場合でも、次の点を確認しましょう。TikTokのガイドラインでは、システムを回避するよう設計された自動化ツールは禁止されています。

  • 公式のBusiness Messaging APIを使っているか。データセキュリティとプライバシーの審査を通過しているか
  • 連携に必要なアカウントの権限(高度なアクセス権、認証済みビジネスアカウント)は何か
  • TikTokの仕様が変わったときの対応はどうなるか
  • 48時間ごとの送信数の制限を、設計に反映しているか
  • 抽選のルールは事前に設定でき、途中の操作が記録されるか
  • 当選枠の配分や1人1回の判定はどのように行うか
  • 返信の文面はどこまで分けられるか
  • 応募データの保管場所、保存期間、削除の方法はどうなるか
  • 障害が起きたときの連絡先と、応募者への案内の方法はどうなるか
  • 料金の範囲に、応募数の上限や追加の費用があるか

よくある失敗例と対策

実際の特定の企業の事例ではなく、設計上起こりやすいパターンとして整理しました。

失敗のパターンなぜ起きるか対策
Instagramの導線をそのまま使ったコメント応募から当選DMを送れると考えたTikTokはユーザーからのDMを起点に設計する
動画は伸びたが応募が少ない応募案内が最後の一瞬だけだった案内を複数回表示し、DMの手順を見せる
流行の音源で作り直しになった企業で使える音源を確認していなかった企画段階で商用音源から候補を選ぶ
開示の設定を忘れた投稿の手順に入っていなかった投稿のチェックリストに開示を含める
10代中心に企画したが応募が伸びないDMの年齢条件を考えていなかった16歳以上を前提に対象を定める
初日に当選枠が尽きた期間一括の枠で動画が急に伸びた日別の配分や確率と上限の設計を検討する
当選数より当選者が少なかった応募が少なく枠が余った当選数の表現と余った場合の扱いを事前に決める
返信が遅れて不満が出た夜間に応募が集中した自動返信か、受付確認だけでも即時に返す
「結果が届かない」と問い合わせが殺到した返信の場所を案内していなかった動画とプロフィールで結果の確認場所を伝える
偽の当選連絡が出回った連絡方法を限定して告知していなかった動画、規約、返信で繰り返し注意喚起する
賞品目当てのフォロワーが増えただけだった賞品と商品の関係が薄かった商品カテゴリーに関係する賞品を選ぶ
クーポンが転売された共通コードを大量に発行した個別のコードと短い期限に変える
終了後も応募DMが届き続けた過去の動画の案内を修正しなかった終了の案内と、締切後の返信文を用意する
クリエイターの投稿が広告と判別できなかった依頼書に開示の方法を書かなかった依頼書と事前確認で開示を明示する
終了後に評価できなかった開始前の数字を残していなかった開始前の基準値と計測の方法を決めておく

担当者向けチェックリスト

工程ごとに確認し、社内の承認資料にも使えるようにまとめました。

企画段階

  • 主目的を1つに絞り、主KPIと目標値を決めた
  • 顧客の年代と、DMが16歳以上という条件を照らし合わせた
  • 商材がTikTokのポリシーで扱えるか確認した
  • 応募形式を決め、購入や来店との関係を整理した
  • 景品表示法上の分類と、必要なら上限を確認した
  • フォローやいいねを条件にするかを判断し、理由を記録した
  • 賞品と当選数を、予算、体制、法令の3つの上限で決めた
  • 悲観、標準、楽観の応募数を試算した

制作段階

  • 動画ごとの役割と投稿日を決めた
  • テロップと音声だけで応募方法がわかる
  • 締切、当選数、応募資格の案内がある
  • 音源は商用音源または権利を確認したものである
  • 開示の設定と動画内の表示を確認した
  • 効能や当選について誇張した表現がない
  • 出演者や画面に、ほかの人の情報が映っていない

開始前日まで

  • 応募規約、プライバシーポリシーへの導線を確認した
  • プロフィールの案内と固定動画を準備した
  • 別のアカウントで応募、当選、落選、2回目の応募をテストした
  • すべての返信パターンの文面を法務が確認した
  • 特典URLとクーポンコードが動作し、数が足りている
  • 担当者の連絡先、休日の監視、中止の判断者を決めた
  • 開始前の数字(フォロワー数、指名検索など)を記録した

期間中

  • 応募数、当選数、残りの枠を毎日確認している
  • コメントとDMで誤解や不満がないか確認している
  • なりすましのアカウントがないか確認している
  • 規約、動画、返信文の内容が一致している
  • 変更があるときは、理由と日時を記録している

終了後

  • 終了の案内をプロフィール、動画、返信に反映した
  • 当選数と受け渡し完了数が、告知の内容と一致している
  • 未受領の当選者への対応を規約のとおりに行った
  • 個人情報を保存期間に沿って削除した
  • 4層の指標と費用を報告書にまとめた
  • 次回にやめること、続けること、試すことを決めた

よくある質問

TikTokキャンペーンはいくらから実施できますか?
決まった下限はありません。賞品、動画の制作、広告、ツールの有無で大きく変わります。まずは費用の項目ごとに見積もり、応募数に幅を持たせて計算しましょう。クーポンなどのデジタル特典で始めると、配送費がかからない分、運用の負担は小さくなります。
個人アカウントでも企業のキャンペーンはできますか?
企業の販促であれば、ビジネスアカウントでの運用を基本に検討してください。公式の案内によると、ビジネスアカウントでは商用音源のみが表示されるため、誤って権利の未確認の音源を使うリスクを減らせます。リード獲得などの広告機能を使う場合もビジネスアカウントが必要です。
フォロー&いいねのキャンペーンは禁止されていますか?
今回確認した公式情報に、一律に禁止または許可すると明記した文は見当たりませんでした。ただし、ガイドラインには、いいねやフォローの水増しを促すコンテンツをおすすめフィードの対象外とする記載があります。最新の公式情報を確認のうえ、必須条件にするかを慎重に判断してください。なお、キャンペーンメーカー for TikTokの自動化の対象はDM応募で、フォロー&いいねの応募は対象外です。
16歳未満もキャンペーンに参加できますか?
DM応募には参加できません。TikTokのコミュニティガイドラインでは、DMの利用は16歳以上とされています。16歳未満も動画を視聴する可能性があるため、応募資格を動画や規約で案内しましょう。
未成年の応募者に保護者の同意は必要ですか?
企画や取得する情報によって判断が変わります。配送先の個人情報を取得する場合や、高額賞品を提供する場合は特に、確認の方法を法務担当者や専門家と検討してください。応募規約には、未成年は保護者の同意を得て応募するよう明記しておくのが一般的です。
当選確率を公開する必要はありますか?
当選確率の公開そのものを義務付ける記載は、今回確認した消費者庁の資料には見当たりませんでした。ただし、当選者数や抽選方法を実態と違う形で伝えることは避ける必要があります。告知した当選者数を下回ると不当表示のおそれがあるため、表示と運用を一致させましょう。
インスタントウィンは手作業でもできますか?
応募が非常に少ない場合を除き、現実的ではありません。応募のたびにすぐ抽選して返信する必要があり、夜間の応募に対応できないためです。手作業の場合は締切後の抽選を検討するか、自動化の仕組みを導入しましょう。
動画の音楽はどこまで気を付ければよいですか?
企業の告知動画は、Commercial Music Libraryなど商用利用が認められた音源から選びましょう。オーガニックの投稿でも同様です。外部で編集した音源や、他の媒体に流用する場合は別途確認が必要です。
自社の投稿でも開示の設定は必要ですか?
コミュニティガイドラインでは、自社のビジネスや製品、サービスを宣伝する場合も開示の対象として挙げられています。プレゼント企画の告知も、自社の宣伝にあたるものとして開示の設定を確認してください。
クリエイターにお願いする場合の注意点は?
報酬や商品提供など見返りがある投稿は、TikTokのブランドコンテンツの開示が必要です。また、依頼した企業自身がステマ規制の対象となるため、動画全体で広告だとわかるようにします。応募先は企業の公式アカウントに一本化すると、管理しやすくなります。
TikTokのDMは何通まで自動で送れますか?
Business Messaging APIの場合、相互フォローでない会話では、ユーザーの最初のメッセージから48時間に最大10通です。ユーザーが返信すると、その後48時間は上限がなくなり、48時間を超えると追加で最大3通に制限されます(公式資料)。条件は変更されることがあるため、実施前に確認してください。
認証済みビジネスアカウントでないとDMの自動返信はできませんか?
公式資料では、高度なアクセス権を持つアカウントまたは認証済みビジネスアカウントが対象とされています。高度なアクセス権は、TikTokアカウントをTikTok for Businessアカウントや未認証のビジネスセンターに連携すると付与されます。一般のアカウントは対象外です。
当選者の住所をDMで聞いてもよいですか?
おすすめしません。誤送信やアカウント乗っ取りの際のリスクが大きいためです。当選者だけに外部のフォームを案内し、利用目的を明示して取得しましょう。金融情報やパスワードは求めないでください。
当選枠が余った場合はどうすればよいですか?
事前に余った場合の扱いを決めておきましょう。告知した当選者数を下回ると不当表示のおそれがあるため、当選数の表現や再抽選の可否を、実施前に法務担当者と確認してください。
来店で特典を渡す企画は問題ありませんか?
問題があるとは限りませんが、景品表示法の分類が変わる場合があります。消費者庁のQ&Aでは、受け取りに来店が必要で、もれなく提供する場合は総付景品の規制の対象とする例が示されています。店舗限定の割引券は、正常な商慣習の値引と認められる場合に景品類に含まれない例もあります。内容に応じて確認しましょう。
LIVEで抽選してもよいですか?
今回確認した公式情報には、LIVEでの抽選を一律に認める、または禁止する記載は見当たりませんでした。LIVEの開始やギフトの送信は18歳以上に限られ、ギフトを応募条件にすることは操作的と受け取られるおそれがあります。LIVEは商品説明や結果発表の場として使い、応募の条件にはしない方法が安全です。
キャンペーン動画は終了後に消すべきですか?
必須ではありません。残す場合は、終了済みとわかるようにキャプションや固定コメントを修正します。締切後の応募DMへの返信も用意しておきましょう。誤解を招きやすい内容の場合は非公開にする選択肢もあります。

実施の前に確認しておきたいページを、目的別にまとめました。2026年11月に内容を確認したものです。ルールは変更されるため、必ず最新の内容を確認してください。

まとめ

  • TikTokキャンペーンは「動画・導線・抽選と返信・特典・ルール」の5つの部品で設計する
  • おすすめフィードでは動画の出来が重要。フォロワー数は直接の要因ではないと公式が説明している
  • 応募の入口はユーザーからのDM。DMの利用は16歳以上で、応募資格の前提になる
  • フォローやいいねを条件にするかは、公式の記載を確認して慎重に判断する
  • 当選数は、予算、体制、法令の3つの上限から決め、告知と実態を一致させる
  • 自社の投稿も開示の対象になる。音源は商用音源を基本にする
  • 応募条件によって景品表示法の分類が変わる。クリエイターの起用ではステマ規制の責任が企業にある
  • 返信の分岐、なりすまし対策、中止の判断者を開始前に用意する
  • 効果は動画、応募、受け渡し、事業の4層で測り、次回は1つずつ改善する

TikTokキャンペーンは、知らない人に届く力がある一方、公式ルールや法律、DMの運用など、準備することが多い施策です。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは小さな規模で、目的を1つに絞って実施し、数字とトラブルの記録を次回に活かしていきましょう。工程ごとの手順はやり方の記事、動画のネタはプレゼント企画の記事、抽選の詳細は抽選方法の記事もあわせて確認してください。

TikTokのプレゼント企画を、1回から

キャンペーンメーカー for TikTok

応募DMの受付から、その場での抽選、当落と特典の自動返信まで。規約・景品表示法に沿った設計かも設計段階で確認します。

  • 年間契約なし
  • その場で当落がわかる
  • 特典URLも自動で配布
  • X・Instagramも相談可
キャンペーンメーカー編集部

Instagram・X・TikTokのキャンペーン運用ツール「キャンペーンメーカー」の編集部です。SNSキャンペーンの企画・運用に役立つ実践的な情報をお届けします。記事内の規約・法令に関する記述は執筆時点の一般的な情報であり、個別の判断は公式情報や専門家にご確認ください。

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